精密分析のご紹介

精密分析は、より詳細な試験結果が必要な場合に最適なオイル分析です。 

機械の摩耗状態やオイルの劣化・異物を詳しく調べることで、機械トラブルの原因や摩耗の進行度を正確に把握できます。 

精密分析の活用方法

主に次のような場面で活用されています。

  • 異常値の原因を特定したいとき
  • 摩耗の進行状況や発生部位を詳しく知りたいとき
  • 劣化やワニスの発生量など、オイル状態の変化を把握したいとき
  • 異物や異種油の混入が疑われるとき

精密分析一覧

当社では下記4つの精密分析を実施できます。 
その他の精密分析については、お問い合わせフォームよりご相談ください。 

「摩耗の粒子」を詳しく調べる分析

分析フェログラフィ法

オイル中に含まれる摩耗粒子や異物の形状と量を顕微鏡で観察し、発生形態や過酷度合いを判定することに適しています。 
摩耗以外の原因で、オイルに混入した粒子も判定できます。 

「劣化」を詳しく調べる分析 

QSA( 定量分光光度分析法) 

オイルをろ過して、フィルター上に蓄積したワニス(Varnish)の量を色の変化で評価します。
劣化の初期段階で発生するワニスを評価でき、RPVOT(酸化安定度試験)では捉えにくい初期劣化の兆候を把握するのに適しています。

「異物」を詳しく調べる分析 

SEM – EDX(エネルギー分散型X線分析法) 

走査型電子顕微鏡で試料表面を観察し、どのような元素がどこにどの程度含まれているのかを評価します。 
評価にはマッピング分析や簡易定量分析を用い、金属粒子や無機質粒子の推定に使用されます。 

FTIR(フーリエ変換赤外分光法) 

赤外線を照射し、吸収された赤外吸収スペクトルを測定することにより、オイル中の異種油混入などを推定します。他の分析と組み合わせることで、有効な分析手法の1 つです。 
有機物などの調査で候補品との同定分析も可能です。 

精密分析の報告書

精密分析の結果は、各試験項目の測定値や専門家の所見をまとめた報告書としてお届けします。

分析データをグラフや一覧で確認でき、過去の試験結果も見られるため、オイルの状態変化や傾向をひと目で把握することができます。

精密分析報告書のサンプルは会社案内に掲載していますので、ご希望の方はこちらからお申し込みください。 

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試験項目のご紹介

ワニス測定試験(QSA分析法)

油圧装置や精密潤滑装置を安定して運転させるためには、オイル中のコンタミネーション(汚染物質)を適切に管理することが重要です。機械の摩耗で発生する摩耗粒子や、外部から混入するちりやほこりなどの「コンタミ」はISOやSAEなどで規定されている試験方法で測定できますが、 酸化劣化によって生じる粘着性の高い有機物「ワニス(Varnish)」は、定量的に把握することが困難でした。 

この課題を解決するために開発されたのが、QSA(定量分光光度分析法)です。オイル中のワニスを定量的に評価し、劣化の進行度を数値で確認することができます。 

試験概要 

使用中のオイルを0.45μmのメンブランフィルターで50mLろ過し、フィルターに残った沈着物の色の濃度を測定します。この濃度からワニス混入の度合いを1~100のスケールで判定します。 

数値化することで、オイルが劣化する初期段階で発生するワニスの量を評価することができます。

タービン油におけるQSAの実施(例) 

ろ過処理前のフィルタ

ろ過処理後のフィルタ

ワニスが機械に及ぼす影響

ワニスは機械内部の部品や流路に付着して、次のような不具合を引き起こすことがあります。

  • クリアランス(すきま)の減少により、摩擦や発熱が増加する 
  • バルブ類や可動部に固着し、作動不良や応答遅れを招く 
  • 熱交換器内部へ付着すると、潤滑油の冷却効果を阻害する 
  • ストレーナーやフィルターの目詰まりを起こし、オイルの流量低下や圧力損失を発生させる

このようにワニスは、機械の動作や冷却性能に影響し、機械の信頼性や稼働効率を低下させる要因となります。 

分析結果の報告

QSA法による結果は、フィルターの色調画像とワニス混入の度合いを数値化したVPR値を含む報告書として提供します。数値と画像の両面から劣化の進行度を確認でき、メンテナンスを計画する際の参考としてお役立ていただけます。