ワニス測定試験(QSA分析法)
油圧装置や精密潤滑装置を安定して運転させるためには、オイル中のコンタミネーション(汚染物質)を適切に管理することが重要です。機械の摩耗で発生する摩耗粒子や、外部から混入するちりやほこりなどの「コンタミ」はISOやSAEなどで規定されている試験方法で測定できますが、 酸化劣化によって生じる粘着性の高い有機物「ワニス(Varnish)」は、定量的に把握することが困難でした。
この課題を解決するために開発されたのが、QSA(定量分光光度分析法)です。オイル中のワニスを定量的に評価し、劣化の進行度を数値で確認することができます。
試験概要
使用中のオイルを0.45μmのメンブランフィルターで50mLろ過し、フィルターに残った沈着物の色の濃度を測定します。この濃度からワニス混入の度合いを1~100のスケールで判定します。
数値化することで、オイルが劣化する初期段階で発生するワニスの量を評価することができます。
ワニスが機械に及ぼす影響
ワニスは機械内部の部品や流路に付着して、次のような不具合を引き起こすことがあります。
クリアランス(すきま)の減少により、摩擦や発熱が増加する
バルブ類や可動部に固着し、作動不良や応答遅れを招く
熱交換器内部へ付着すると、潤滑油の冷却効果を阻害する
ストレーナーやフィルターの目詰まりを起こし、オイルの流量低下や圧力損失を発生させる
このようにワニスは、機械の動作や冷却性能に影響し、機械の信頼性や稼働効率を低下させる要因となります。
分析結果の報告
QSA法による結果は、フィルターの色調画像とワニス混入の度合いを数値化したVPR値を含む報告書として提供します。数値と画像の両面から劣化の進行度を確認でき、メンテナンスを計画する際の参考としてお役立ていただけます。