やさしく分かるオイル分析

機械の健康を守るために

オイルの定期分析で、

機械の健康診断

人間の健康状態が血液検査により診断できるように、機械に使用されているオイルを定期的に分析することで、機械の摩耗状態や故障原因となるオイルの劣化や汚染状態を把握し、機械の故障リスクを低減することができます。

オイル分析の基礎 

「摩耗」「劣化」「汚染」の3要素で診る

一つの試験項目では判断できないことも、複数の試験項目を実施することで機械やオイルの状態をより深く把握することができます。 

摩耗オイルに含まれる摩耗粒子の種類や量を調べます
劣化オイルの性状・粘性の変化や酸化、添加剤の消耗などを調べます
汚染オイルに水分やスラッジ砂塵などの混入がないかを調べます

オイル分析だからできる早期発見 

オイル分析は、機械の状態監視保全手法の中で、振動法や温度法と比べて、初期なじみ期間でも異常が発見できるほか、異常摩耗によって機械に影響が出る前に異常を発見することができます。 

参考文献:久藤 樹. 基礎から学ぶ潤滑管理. 潤滑経済 臨時増刊号, 2018, p.88 

早期発見により機械寿命を延ばす 

人間も健康診断をすることで、病気を早期に発見し適切な治療で重症化を防ぐことができるように、機械も定期的にオイル分析をすることでオイルや機械の状態を常に把握し、トラブルを起こす前に適切な処置ができ、機械の寿命を延ばすことができます。 

定期交換から状態監視保全へ ― オイル分析で変わるメンテナンス 

従来、多くの現場では機械やオイルを「時間や走行距離」で定期的に交換してきました。しかし、実際の劣化速度は使用環境や負荷条件によって大きく変わります。オイル分析を取り入れることで、劣化の度合いを化学的に把握し、必要なタイミングで交換する「状態監視保全(CBM)」が可能になります。これにより無駄な交換を減らしつつ、重大トラブルの予防とコスト削減を両立できます。 

オイル分析でできること 

振動法・温度法で気付けない異常が発見できる 

機械を分解することなく摩耗や異常の兆候を早期に発見し、予知保全につなげます。予知保全とは、故障が起きる前に兆しを捉えて対策する考え方で、突発的なトラブルを防ぐことを目的としています。

メンテナンスを最適化できる 

オーバーホールの時期の見直しや更油期間の延長など、計画的で効率的なメンテナンスが可能になります。オイル交換や点検の「やりすぎ・やらなすぎ」を防ぎ、本当に必要なメンテナンスだけに最適化できます。その結果、部品交換サイクルも延び、安定した機械・設備の運用につながります。

資源を大切にできる 

メンテナンスが最適化されることで、オイルの無駄な廃棄を削減できます。またトラブルを未然に防ぐために対策していくことで、機械自体の寿命も延び、長く使用できます。

オイルの比較や品質調査ができる 

他社オイルとの性能差を調べたり、現行油と新油を比較して特性や耐久性の違い、異種油の混入を調べたりすることができます。また、JIS規格の要求品質に従って、オイル自体の品質調査をすることができます。 


これらの取り組みにより、突発的な修理費や無駄な整備コストを抑え、大幅なコスト削減につながります。 

オイルには性能差と機械との相性がある

オイルはすべて同じではなく、性能や特徴に違いがあります。機械メーカーが特定のオイルを推奨するのは、相性の悪いオイルを使うとトラブルにつながる可能性があるからです。

実際に、廃番や性能向上のためにオイルを切り替えることもありますが、選ぶオイル次第で機械の信頼性や寿命が変わってきます。つまり、オイル選びは「どれでも良い」ではなく、機械の性能を発揮させるための重要な要素なのです。 

多分野に広がる
オイル分析への信頼

食品・飲料

自動車

エンジンメーカー 

造船 

鉄道

建設

航空

石油

電気

オイル分析は、機械の状態を正しく把握し、安定稼働や信頼性向上に役立つ技術です。その活用分野は製造業からエネルギー、輸送、防衛に至るまで幅広く、さまざまな業種で導入されています。 

当社で分析できる

オイルとその特徴

機械を守る「潤滑油」

潤滑油は、機械の中で部品同士がスムーズに動くようにする「機械の守り役」です。摩擦や摩耗を減らして長持ちさせるだけでなく、熱を下げたり、さびを防いだり、すき間をふさぐなど、さまざまな働きをしています。 

この潤滑油は「基油(ベースオイル)」に、目的に合わせて添加剤を混ぜて作られます。添加剤を加えることで、エンジンやギヤー(歯車)、油圧装置など、それぞれの機械に合った性能を発揮できるようになります。 

当社で分析できる潤滑油は、以下の通りです。 

  • 油圧作動油
  • タービン油
  • ギヤー油
  • 冷凍機油
  • ガソリンエンジン油
  • ディーゼルエンジン油
  • ガスエンジン油
  • 工作機械用潤滑油
  • 軸受油
  • 熱処理油
  • 切削油
  • 航空潤滑油

など

機械を動かす「燃料油」

燃料油は、機械や設備を動かすための「エネルギー源」となる油です。自動車や船、発電機、ボイラーなどで燃やすことで、動力や熱を生み出します。 

種類もさまざまで、ガソリンや軽油、重油、灯油など、用途や機械に合わせて使い分けられています。例えば、自動車にはガソリンや軽油、船舶や発電機には重油、家庭の暖房やボイラーには灯油が使われます。 

当社で分析できる燃料油は、以下の通りです。 

  • 軽油 
  • 重油 
  • 灯油 
  • 航空タービン燃料油(ジェット燃料) 

など

例えば、燃料油の分析では、JIS規格との比較で軽油の種類を調べたり、流動点などから低温環境での使用可否を判断したりすることができます。また、クマリン分析や金属元素分析によって、異種油の混入が分かります。

部品を守る「グリース」 

グリースは、潤滑油に増ちょう剤を混ぜて半固体状にした「ドロッとした潤滑剤」です。液体のオイルでは流れ出てしまう場所や、長期間油を補給しにくい部分で活躍します。

例えば、ベアリング(軸受け)、モーター、車両部品などで使われ、摩擦や摩耗を防ぎ機械をしっかり守ります。液体の潤滑油と比べて流れにくく、密閉しづらい箇所でも安定して潤滑できるのが特長です。

オイルのトレンド ― 広がるサステナブル燃料

近年、燃料油や潤滑油の分野でも、環境に配慮した「再生・植物由来のオイル」が注目されています。化石燃料に代わり、再生燃料や植物油ベースの代替燃料が少しずつ実用化へ進んでいます。 

代表的なものは、以下の2つです。

SAF(Sustainable Aviation Fuel)

持続可能な航空燃料。植物油や廃食油などが原料

BDF(Biodiesel Fuel)

廃食油や菜種油から作られる軽油代替燃料

これらはCO₂削減に効果がありますが、価格の高さや既存機械・設備との適合性が課題です。ただし、今後規格化や品質基準が整えば普及が進むと考えられています。

潤滑油でも、植物由来や再生資源を使った製品が登場しています。まだ業界全体での使用は少ないものの、環境対応の一環として関心が高まっています。

当社では、こうした新しい燃料や潤滑油に関する分析にも、ご要望に応じて対応可能かを個別に検討しています。

当社で実績のあるサステナブル燃料は、以下の通りです。

  • 再生重油
  • HVO(Hydrotreated Vegetable Oil)
  • BDF(Biodiesel Fuel)
  • FAME(Fatty Acid Methyl Ester)

など

こうした新しい燃料や潤滑油も当社では一部分析が可能ですので、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

「やさしく分かるオイル分析 ― 機械の健康を守るために」の説明は以上です。 
続いて、機械メンテナンスの課題とオイル分析について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。 

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軽油と重油には、
いくつかの種類があります

燃料油といっても、実はいくつかの種類があります。重油は動粘度(どろっとした具合)によって、軽油は低温でもどこまで固まりにくいか(流動点、目詰まり点)によって分類されています。 

使う機械の種類や地域の気温によって、適した燃料は異なります。ここでは、代表的な種類をご紹介します。 

軽油の種類(JIS K 2204 :2023 による分類) 

特1号軽油・流動点:+5℃以下
・目詰まり点:規定なし
・特徴:沖縄などで通年使用。セタン指数が高く安定した燃焼が得られる
1号軽油・流動点:−2.5℃以下
・目詰まり点:−1℃以下
・特徴:一般的に広く使用。始動性と燃焼性のバランスが良い
2号軽油・流動点:−7.5℃以下
・目詰まり点:−5℃以下
・特徴:低温でも固まりにくい
3号軽油・流動点:−20℃以下
・目詰まり点:−12℃以下
・特徴:寒冷地仕様。低温でも流動性を保つ
特3号軽油・流動点:−30℃以下
・目詰まり点:−19℃以下
・特徴:極めて低温でも固まりにくい特別仕様

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参考文献: JIS K 2204:2023 軽油 解説 解説表1-軽油使用ガイドライン

重油の種類(JIS K 2205 :1991 による分類)

A重油(1種)・通称:軽質油 
・粘度:20 mm²/s以下(50℃時) 
・主な用途:小型ボイラー、ビル暖房用、漁船(小型船舶ディーゼルエンジン用)など 
・特徴:軽油に近い性質で扱いやすく、すすの発生が少ない 
B重油(2種)・通称:中質油 
・粘度:50 mm²/s以下(50℃時) 
・主な用途:内燃機関用、中小工場ボイラーなど 
・特徴:A重油とC重油の中間的な性質 
C重油(3種)・通称:重質油 
・粘度:250〜1,000 mm²/s(50℃時) 
・主な用途:大型ボイラー、タンカー・コンテナ船(大型船舶ディーゼルエンジン用)など 
・特徴:価格が安く燃料コストを抑えられるが、すすや硫黄酸化物の排出が多い